HONDA - JUNO


ジュノオ K型 (1954)/ジュノオ KA型 (1954)/ジュノオ KB型 (1954)/ジュノオ KC型 (1955)/ジュノオ M80 (1961)/ジュノオ M85 (1962)


ジュノオ K型 (1954)

 強制空冷4stOHVシングル189cc。1953.11発表。ホンダが初めて世に送り出した創意に満ちたスクーターで、夢の素材といわれたFRP製のボディを始め注目を集めた。ジュノオの名称はギリシャ神話の女神からとったもの。フレームはパイプによるバックボーン、エンジンのベースはDream3Eでこれをラバーマウントした。3速ミッションも3Eのもの。前面に巨大なスクリーンを2重に用意し、外側のスクリーンを上にスライドさせると雨よけに使用できるという全天候を狙った意欲作で、ボディは時代を先取りしたFRPで作られていた。このFRPボディは神奈川県大和市に新設した自社FRP専用工場で製作されていたが、従来の鉄製ボディより重量が嵩んでしまったといわれ、またフルカバードのボディは廃熱に悩まされることになった。3Eが97kgだったのに対してジュノオは170kgもあったのである。これには手探り部分の多かったFRP技術の未発達によるところが大きい。またホイールは前後ともタイヤ交換を容易にすることを狙って片持ちとされるが、当時の加工精度では直進性に問題が出るなど十分ではなかった。頻繁に改良が施されるがKC型を最後に1年半で生産中止になった。販売には専門会社ジュノオ販売を設立するなどホンダとして大変力を入れていたが、拡大したディーラー網には納車が遅れがちになったうえ相次ぐ改良に不審感まで生んでしまった。DreamEシリーズのヒットで国内販売トップに立ったホンダだったがこのジュノオの失敗により1955年にはその座をトーハツにあけわたすことになった。開発者たちのそのときの苦労は「ジュノオのことは思い出したくもない」と今にしていわしめるほどだった。公称最高速度70km/h。

 発売 1954 全長 2070mm 全幅 700mm 全高 1025mm(スクリーン含まず) 軸間距離 1400mm シート高- 最低地上高 - 乾燥重量 170kg 整備重量- 強制空冷4サイクル横置シングルOHV 189cc ボア*ストローク 65*57mm 圧縮比 6.5 最大出力 6.5ps/4800rpm 最大トルク 1.43kg*m/3500rpm 始動方式 セル/キック 潤滑方式 ウェットサンプ 点火方式 バッテリイグニッション 充電機 フライホイールダイナモ/セレン整流器 駆動方式 - キャブレタ - クラッチ 乾式多板 3速ロータリー 変速比 3.05/1.53/1.00 1次減速比 - 2次減速比 - フレーム 鋼管バックボーン キャスター - トレール - BrakeF ドラム BrakeR ドラム SusF ボトムリンク片持ち DumperF - SusR スイングアーム片持ち DumperR - TyreF 5.00-9 TyreR 5.00-9 タンク容量 - オイル容量 - 登坂力 1/3 車両価格 \185000-(1954)japan 

ジュノオ KA型 (1954)

 空冷4stOHVシングル220cc。発売半年後の変更は指摘されたパワー不足のためのボアアップ。エンジンはDream4Eのものになった。排気量は189ccから220ccになり9psにアップするが重い車体は否めなかった。エンジンカバー部に空気取り入れ口を新設し冷却性の向上が図られた。公称最高速度75km/h。

 発売 1954 全長 2070mm 全幅 820mm 全高 1000mm 軸間距離 1385mm シート高- 最低地上高 - 乾燥重量 160kg 整備重量- 強制空冷4サイクル横置シングルOHV 220cc ボア*ストローク 70*57mm 圧縮比 - 最大出力 9.0ps/5500rpm 最大トルク -kg*m/-rpm 始動方式 セル/キック 潤滑方式 - 点火方式 - 駆動方式 - キャブレタ - クラッチ 湿式多板 3速 変速比 - 1次減速比 - 2次減速比 - フレーム 鋼管バックボーン キャスター - トレール - BrakeF ドラム BrakeR ドラム SusF ボトムリンク DumperF - SusR スイングアーム DumperR - TyreF 5.00-9 TyreR 5.00-9 タンク容量 17L オイル容量 - 車両価格 \-(1954)japan 

ジュノオ KB型 (1954)

 空冷4stOHVシングル220cc。KAでも免れなかったアンダーパワーのためにセルモーターを取り外した仕様。公称最高速度75km/h。

 発売 1954 全長 2070mm 全幅 820mm 全高 1000mm 軸間距離 1385mm シート高- 最低地上高 - 乾燥重量 150kg 整備重量- 強制空冷4サイクル横置シングルOHV 220cc ボア*ストローク 70*57mm 圧縮比 - 最大出力 9.0ps/5500rpm 最大トルク -kg*m/-rpm 始動方式 キック 潤滑方式 - 点火方式 - 駆動方式 - キャブレタ - クラッチ 湿式多板 3速 変速比 - 1次減速比 - 2次減速比 - フレーム 鋼管バックボーン キャスター - トレール - BrakeF ドラム BrakeR ドラム SusF ボトムリンク DumperF - SusR スイングアーム DumperR - TyreF 5.00-9 TyreR 5.00-9 タンク容量 17L オイル容量 - 車両価格 \-(1954)japan 

ジュノオ KC型 (1955)

 空冷4stOHVシングル220cc。KBで省略されたセルモーターが利便性のため再度搭載された仕様。ジュノオの最終型になった。

 発売 1954 全長 2070mm 全幅 820mm 全高 1000mm 軸間距離 1385mm シート高- 最低地上高 - 乾燥重量 160kg 整備重量- 強制空冷4サイクル横置シングルOHV 220cc ボア*ストローク 70*57mm 圧縮比 - 最大出力 9.0ps/5500rpm 最大トルク -kg*m/-rpm 始動方式 キック 潤滑方式 - 点火方式 - 駆動方式 - キャブレタ - クラッチ 湿式多板 3速 変速比 - 1次減速比 - 2次減速比 - フレーム 鋼管バックボーン キャスター - トレール - BrakeF ドラム BrakeR ドラム SusF ボトムリンク DumperF - SusR スイングアーム DumperR - TyreF 5.00-9 TyreR 5.00-9 タンク容量 17L オイル容量 - 車両価格 \-(1954)japan 

ジュノオ M80 (1961)

 空冷4stOHVボクサーツイン124cc。いわゆる2代目ジュノオ。ホンダのスクーターへの2度目の挑戦といういことで名誉挽回を図った意欲作だった。なんといっても特徴的なのはエンジンで、スクーターの概念を破ったボクサーツインはFタイヤのすぐ後ろへ置かれる。これにより駆動系のレイアウトは後輪に至るまで四輪車によく似たものとなり、それこそ技術陣の意図したところだった。ミッションは無段変速でこれは1954ミラノショーで公開されたイタリア パダリーニ研究所のパテントを購入したものでパダリーニ ミッションと呼ばれる。これはエンジンと駆動系の間に油圧で駆動される円板(スワッシュプレート)を置き、この傾きを変えることによって伝達率を変える機構。流体を介在する伝達機構になるが1:1の場合で94%の伝達効率と公表された。チェーンケースはオイルバス式と呼ばれ、のちのロードパルにも採用された機構。タンクはシート下に配置。レッグシールド(Fパネル)の裏側を外せばエンジンが剥き出しになる整備性を考慮した構造だった。公称最高速度100km/h。

 発売 1961 全長 1810mm 全幅 665mm 全高 1030mm 軸間距離 1265mm シート高- 最低地上高 - 重量 146kg 乾燥重量 -kg 整備重量- 空冷4サイクル縦置水平対向2気筒OHV 124cc ボア*ストローク 43*43mm 圧縮比 9.0 最大出力 11ps/9000rpm 最大トルク -kg*m/-rpm 始動方式 セル/キック 潤滑方式 ウェットサンプ 点火方式 バッテリ 駆動方式 - キャブレタ - クラッチ - 無段(パダリーニ流体自動変速機) 変速比 - 1次減速比 - 2次減速比 - フレーム - キャスター - トレール - BrakeF ドラム BrakeR ドラム SusF ボトムリンク DumperF - SusR スイングアーム DumperR - TyreF - TyreR - タンク容量 6L オイル容量 - 車両価格 \159000-(1962)japan 

ジュノオ M85 (1962)

 空冷4stOHVボクサーツイン168.9cc。パダリーニ ミッションの伝達効率が想定されたほどではなくアンダーパワーの風評が出始めたのに対応してM80のボアを広げトルクを稼いだモデル。この無段変速ミッションは重量が嵩むことが難点だった。加えてスクーターとして類をみないハイメカニズムや先進的すぎたとされるデザイン、さらにミッションのパテント料が車両価格を押し上げたことから、2代目ジュノオはまたも生産中止へ追い込まれてしまう。自動無段変速+手動変速のミッションを採用。チェーンケースはオイルバス式と呼ばれ、のちのロードパルにも採用された機構でM80と同様のものだがこちらはチェーン左出し。レッグシールド部の造形が異なるなどM80とは差異が多い。公称最高速度100km/h。

 発売 1962 全長 1825mm 全幅 675mm 全高 1032mm 軸間距離 1270mm シート高- 最低地上高 135mm 重量 157kg 乾燥重量 -kg 整備重量- 空冷4サイクル縦置水平対向2気筒OHV 168.9cc ボア*ストローク 50*43mm 圧縮比 8.5 最大出力 12ps/7600rpm 最大トルク 1.34kg*m/5700rpm 始動方式 セル 潤滑方式 ウェットサンプ 点火方式 バッテリ 駆動方式 - キャブレタ - クラッチ - 無段パダリーニ流体自動変速機) 変速比 - 1次減速比 - 2次減速比 - フレーム - キャスター - トレール - BrakeF ドラム BrakeR ドラム SusF ボトムリンク DumperF - SusR スイングアーム DumperR - TyreF 3.50-10 TyreR 3.50-10 タンク容量 6L オイル容量 - 登坂力 16度 車両価格 \169000-(1962)japan