-RealSport!- HOREX644OSCA Normal(1991.7) review |
|||||||||
幸運なことに今回HOREX 644OSCAの設計者、C.K.デザイン代表の佐々木和夫氏にお話を伺う機会に恵まれた。佐々木氏は1970年から79年までホンダで車体関係を中心に設計に従事、その時代に携わった代表的な車種はCB350Fに始まりモトクロッサーRCシリーズ、革新的な車だったGL500、GL1000、大ヒットしてスクーターの革命となったロードパル、そしてロードレーサーRCBに及ぶ。GL500では水冷及び熱交換器技術の研究成果が結実、GL1000ではフェアリングを空力面から先行研究。ホンダ退社後C.K.デザインを起こしモーターサイクルを中心に展開、一般に目に触れるところでは宅配ピザの車体、モトクロッサーのクロスカウル(いずれも草分け)、インド生産べスパ(パジャジ)のオリジナルバージョンの輸入販売などを手がける。そしてもちろんオリジナルスーパーバイクHOREX 644OSCA。大学時代からすでに執筆活動も行っており著書多数。 |
|||||||||
Q.32才という若さでホンダを退社されていますが、そのときの目標にはオリジナルバイクの実現というテーマが最初からあったのでしょうか A.理想とする車の実現は目標ではありましたが、かたや不可能だと認識してもいました。ホンダを退社した理由のひとつは海外で働きたかったこと。実現しましたが1980年にはC.K.デザインとして独立しました。モーターサイクルを中心に幅広く手がけていく中で、世の中にいかに図面のないものが多いかということに衝撃を受けましたね。ホンダではそんなことはありえませんでしたから。OSCAが実現できたのはホントにタイミングでしたが、やるべきかやらざるべきか悩みましたね。 |
|
||||||||
|
Q.HOREXとの出会いはケルンショーとうかがっていますが。 A.初めてHOREXの車を見たのは高校生の頃、中野の卸みたいなバイク屋さんでした。すごくカッコよくて感動したんですが、1982年か84年くらいのケルンショーでやっぱりすごくカッコいいバイクを見かけて、そのときは資料をもらったくらいだったんですが後になってあのHOREXだったのか、と昔のことを思い出しました。その後バイクの輸入を考えることがあって、1986年当時イタリアHRDと協力体制にあったHOREXにアプローチしたんです。 |
|
|||||||
|
|
||||||||
Q.そこからOSCAプロジェクトに発展していくんですね? A.社会的な変化などいろいろなことがあってそんな風になりましたね。最初は輸入だけのつもりだったんですごく悩みました。やりたい気持ちはもちろん大きいんですがいろいろな意味でリスクも大きい。10年後だったらもっと成功する可能性も高くなるけど、でも今このチャンスがあって10年後の自分はどう思うかと考えて、やることにしました。こんな楽しいことをなんであのときやらなかったんだろう、そう思いたくなかったですから。プロジェクトにあたっては本当に大勢のひとに協力してもらいました。ホンダでRCBを手がけたときの経験はまったく得がたいものでしたね。だからOSCAにはそういった人々の夢が詰まってるんです。 |
![]() ![]() ![]() |
|
|||||||
![]() ![]() ![]() ![]() |
Q.OSCAはターゲットが非常に明確なバイクだと思いますが。 A.購買層を仮にピラミッドに見立てればその頂点のほんの一部、ベテランライダーに向けた車です。ディメンジョンがレーサーと同様になっている点など、ライン生産に不向きで、またイージーには乗れないところもあるのですが本当に乗れた(操れた)ときはその喜びを満喫できる、そういうつくり方をしています。高価なこともあってオーナーには四輪でも外国製スポーツカーを所有しているような方が多いですね。たとえばタンクは製造に非常に手間のかかる構成のアルミなのですが、これをスチールにするなどコストダウンを図っていけばあるいは価格はもっと落とせるかもしれない。でもOSCAは私たちメーカー、オーナー、そしてこれを理解してくださるひとたちの「夢」ですからそのようなことはしません。 |
|
|||||||
Q.HOREXというブランドは残念ながら日本ではあまり馴染みのないメーカーなのですが実際の生産はドイツで行われているのですか A.ショーワを始め多数の国内メーカーからパーツを調達していますがアッセンブリはドイツで行っています。HOREXは1920年くらいの創業でかつてはBMWより大きなメーカーでした。ヨーロッパでは知名度がかなり高く、同時にその歴史も認識されているのです。そのエンブレムを冠するにあたり、それを支えてきた人たちの思いを託されているともいえます。それをしっかり受けとめたいと思い、たとえばエンブレムはHOREX HRD時代のものはステッカだったんですがOSCAでは金メッキに七宝焼きです。車体デザインには機能的なものが多分にあるのでかつてのHOREX車のイメージを活かしてというのは難しいのですが、タンクのシルエットに一部HRDを意識したラインを入れました。設計者の気休めかもしれませんが。 |
![]() ![]() ![]() ![]() |
|
|||||||
![]()
|
Q.1991年の設計からすでに10年が経過しています。周辺パーツも進化しているわけですが車体側で見直されてきた点等はありますか。
A.車体側では基本的にありません。設定範囲も広いですし十分対応できます。たとえば設計当時は前輪ラジアル、後輪ベルテッドバイアスでしたが今現在出荷されるのはもちろん前後ラジアル(メッツラー)です。そのままでなにも問題ありません。サスペンションなどは順次進化していますが基本性能に最初から妥協がありませんから不足はないと思います。グレードによる差別化のためにコルサなどではオイルクーラーを付けたりしていますが、オイルタンクにフレームの一部を使用するもともとの部分で油温は10度は下がりますからこれもあえて必要ではないのです。 |
![]() ![]() ![]() |
HOREX 644osca