YAMAHA - TD


TD1/TD1A (1962)/TD1B (1965)/TD1C (1969)/TD-2B (1970)/TD-3 (1972)


TD1/TD1A (1962)

 空冷2stピストンバルブパラツイン 246cc。ヤマハ初の市販レーサー。スクーター、モペッドの不振により経営危機に見舞われた同社は1962年6月、原点に立ち返るべく中止していたレース活動の再開を決定。目標をホンダの本拠地鈴鹿で行われる第1回全日本ロードレース選手権に定めて開発が始められた。ベース車両はカタリナレーサーの発展型である1961年のアメリカGP参戦マシンであり、空冷パラツインを鋼管ダブルクレードルフレームに搭載する。エンジンはYDS2 (1962)がベースとなったが、共用部品はクランクケース、シフト機構まわり程度にとどまる。シリンダはポーラスメッキを施したアルミ製とされ、抵抗軽減のためにピストンリングはパーカライジング処理された1本のみが装着された。構造的な問題を抱える点としてYDS2から引き継いだシフトまわり、クランクシャフトを指摘されることが多いが、この他にクランクケースにラバーマウントされたキャブレタのフロート室が振動のために発泡することなどがあった。これらは逐次材質変更などにより修正されてきたが、根本的な解決を見たのはYDS3をベースとするTD1Bによる。前輪2.50-18、後輪2.75-18のH型断面アルミリムにフロントはエアスクープ付のドラムブレーキの組み合わせ。公称最高速度148km/h。

 TD1は1962年10月のモーターショーで発表、市販開始は同年12月から。目標としていた鈴鹿では生産環境の整わない販売前ながら15台を用意する力のいれようだったといわれ、ノービス250ccクラスにエントリーし、雨の中CR72を相手に1,2フィニッシュを飾った。残念ながらその後レギュレーションにより国内レース参戦の道はほとんど閉ざされてしまったが海外ではその性能が高く評価され人気を博した。TD1には「TD1A」と「TD1」の2つの型式が存在するが、保安部品を装備し公道走行可能なモデルが「TD1」、これにレースキットを組み込んだものが「TD1A」と区別される。TD1の状態でのスペックは22ps、これに対してTD1Aは35psを発生した。

 発売 1962 全長 1950mm 全幅 735mm 全高 950mm 軸間距離 1290mm シート高 - 最低地上高 - 重量 132kg 乾燥重量 -kg 整備重量 -kg 空冷2サイクル横置2気筒 246cc ボア*ストローク 56*50mm 圧縮比 7.5 最大出力 25ps/7500rpm 最大トルク kg ・m/rpm 始動方式 キック  潤滑方式 - オイルポンプ型式 - オイルフィルター型式 - 点火方式 - キャブレタ - 点火プラグ - クラッチ - 変速機 5速 変速比 2.50/1.58/1.23/1.04/0.92 1次減速比 - 2次減速比 - フレーム - キャスター -  トレール -  Brake F - Brake R - SusF - Dumper F - SusR - Dumper R - TyreF 2.50-18 TyreR 2.75-18 タンク容量 L オイル容量 -L バッテリ - 登坂力 -度  定地燃費 -km/L 車両価格 \380000-(1962)japan 

TD1B (1965)

 空冷2stピストンバルブパラツイン 246cc。ヤマハ初の市販レーサーTD1Aの後期型で輸出専用として生産された。ベース車両がYDS2からYDS3へ発展したことに伴う変更。TD1Aの弱点とされたクランクシャフトの耐久性が大幅に向上されたほか、ハイフロー型と呼ばれるピストン、5ポートシリンダの原型といわれる俗称「ミミズポート」シリンダを装備、ピストンはハイフロータイプ。国内レースではホモロゲーションを満たせずほとんど活躍の場はなかったが、このエンジンをYDS3の車体に載せ第3回、4回日本グランプリに出場、ジュニアクラスで結果を残してもいる。35ps/10000rpm、F2.50-18、R2.75-18。


TD1C (1969)

 空冷2stピストンバルブパラツイン 246cc。市販レーサーTD1Bの後継車。ベース車両がYDS3からDS5Eにモデルチェンジしたのに伴う変更だが内容的にはマイナーチェンジ程度といわれる。それまでクランクシャフト端に位置したクラッチがメインシャフト端に移されたのがもっとも大きな改良点。35ps/10000rpm、F2.50-18、R2.75-18。


TD-2B (1970)

 空冷2stピストンバルブパラツイン 246cc。輸出モデル。市販レーサー。350ccクラスのTR-2 (1970)に対して250ccクラスに投入されたモデル。TD-2として1969年に投入され、1970年にはマイナーチェンジを受けている。DS6 (1969)ベースのパワーユニットを鋼管ダブルクレードルフレームに搭載。前後18インチのH断面リムに大型エアダクトの開いたドラムブレーキを組み合わせる。マシンコンプリートでは輸出のみの提供だったが国内向けにはDS6のキットパーツとして提供された。公称最高速度215km/h。


TD-3 (1972)

 空冷2stピストンバルブパラツイン 247cc。市販レーサー。TD-2シリーズより1972年モデルチェンジ。56.0*50.0だったシリンダは54*54のスクエアへ変更された。翌1973年にはTZ250が発表され、最後の空冷レーサーとなった。