Words - HONDA


アイドルストップシステム/インボード・ベンチレーテッドディスク・ブレーキ/エアインジェクション・システム/コムスターホイール/コンビ ブレーキ/三元触媒機構/二次空気導入装置/デュアルインテークキャブレター/電子制御燃料噴射装置/プロリンク・サスペンション/ボルトレス共加工/ロックイン機構/ACGスターター/ATAC/Combi-Brake system/HECS3/H.I.S.S./HYPER VTEC/HYPER VTEC SPEC II/NSシリンダー/PGM-FIシステム/RFVC/Tボーンフレーム/TLAD/TRAC/U字型断面ダイキャストフレーム


アイドルストップシステム (1999)

  1999年6月発売のジョルノ クレアで初採用、その後2001年1月26日発売のクレア スクーピー・iに採用された。クレア スクーピー・iでは停車3秒後にエンジンが止まり、そのままアクセルを開けると自動的に再始動する。クレア スクーピー・iのこのシステムはECUですべて制御されており、シートに設置する着座センサにより乗車した状態でないと再始動しないよう配慮されている。被視認性向上のため、このアイドリングストップ状態でもヘッドライトとテールランプは点灯するが、3分以上停車した状態が続くとバッテリ上がりを防ぐため自動的にヘッドライトを消灯する。アクセルを開けた際にただちに発進できなければならないが、すばやい始動をねらってクレア スクーピー・iでは発電用/始動用コイルを共用してECUで管理するACGスターターが採用された。


インボード・ベンチレーテッドディスク・ブレーキ(1981)

 CBX400F等に採用されたブレーキディスクをプラスチックカバーに隠したブレーキシステム。制動フィーリングに優れた鋳鉄製ディスクの錆を隠すことから発想されたといわれている。キャリパをディスク内周側に設置し、外周側にディスクと一体となって回転する遠心ファンを設けて強制排気する。


エアインジェクション・システム 二次空気導入装置 (2003)

 排出ガスのクリーン化のための技術のひとつ。エアクリーナボックスより新気の一部を排気ポートに送って、排出ガスの酸化を排気ポート以降の行程で促進させ、完全燃焼を目指すもの。これにより未燃焼ガスCO、HCの低減を図る。


コムスターホイール (1978,1979,)

 当時リムのアルミ化が進むにつれスポークの緩みが問題として具現化しており、オフ車の中には1000km程度で緩んでしまうものもあった。理想のホイールとしてホンダが考案したのがこのコムスターホイールで、リムには粘りのある巻きリムを使い、スポークプレートによって強度を調整しながらハブと連結する。ブーメランコムスターによってひとつの完成形をみたが、アルミ材料やその鋳造技術の進歩によりキャストホイールでその特性を表現できるようになり利用されなくなった。ユーザーサイドから見ると掃除がしにくいという難点もあったがホンダ独自の目に見える最新技術だった。当時はロードモデルにはキャストで対応というのが各社の方法論だったが、実は当時のアルミ鋳造技術ではホンダは自信がなかったという一面もあった。(もちろん品質基準の置き方によって見方は変わる。)


コンビ ブレーキ (2001) Combi-Brake system

 前後連動式ブレーキシステム。後輪ブレーキの左レバーを握ると前輪ブレーキが連動。イコライザーケースと呼ばれる箱の中に前後ブレーキワイヤを連結した2枚のプレートが設けられており、後輪ブレーキ操作の際のみ前輪側も連動する機械式装置。イコライザーケース内のストッパにより、左レバーをさらに強く握りこんだ際でも前輪ブレーキは一定の制動力を維持する。コンビ ブレーキの名称はCombinedとConvenienceをかけたもの。2001年1月26日発売のクレア スクーピーシリーズに採用。


デュアルインテークキャブレター (1985)

 デュアルインテークキャブレターの説明をCBX125Customのカタログから転記:「二つのインテークポート各々に異なった機能を果たすキャブレターを設け、スロットル開度に応じ、つねに最適な混合気を供給。アイドリングから中速域まではプライマリー側のみが作動し、すぐれたピックアップを発揮する。スロットル開度があるレベルを越えるとセカンダリー側のバルブも開き始め、多量の混合気が供給され、ハイパワーを発揮。さらに二つのインテークマニホールドの間に、混合気のバイパス経路を設定。プライマリー側のキャブレターのみが作動している時、わずかな混合気を流し、セカンダリー側のマニホールドに既燃焼ガスの逆流を防ぎ、安定したアイドル回転と超低速域からの敏感なレスポンスを実現している」(ここまでカタログより転記)。


プロリンク・サスペンション(1984)

 マスの集中化とプログレッシブ効果を狙ったリンク式サスペンション機構。


ボルトレス共加工 (2001)

 生産効率をあげるための工夫のひとつでホンダの特許となっている。2001年1月発売のクレア スクーピーに採用。上下分割式のエンジンブロックの軸受け部分の加工の際、通常は一度仮組みしてボルトで固定してから真円加工(ドライブシャフトなどには6-7ミクロンの真円度が要求される)を施し、再度分割するが、このボルト固定の工程を省く技術。基本的には上下から抑えるのであるが、抑えた際に生じるワークの歪を抑えるための補強リブの立て方や圧力の加え方が特許になっている。


ロックイン機構 (2001)

 センタースタンドを立てた状態で車体に装備されたレバーを倒すとセンタースタンドがロックされる機構で、車体の盗難防止のためのもの。レバーはシート下のトランクルームなどに設置される。2001年1月発売のクレア スクーピーなどに装備。


ATAC(Auto-controlled Torque Amplification Chamber)(1984)

 NS250F/RNS400R等に採用された2サイクルエンジンの排気デバイス。


ACGスターター (2001)

  2001年1月26日発売のクレア スクーピーシリーズに採用された。アウターローターの発電用/始動用コイルを共用してECUで管理することによりユニットの軽量化、すばやい始動、始動時の騒音低減を図る。あわせてブラシレス化されるため長寿命も実現する。ジョルノ クレアとクレア スクーピーでの比較ではユニット単体で2kgの軽量化を果たし、またスクーピー・iで採用されたアイドルストップシステムの速い始動に貢献している。


HECS3 (Honda Evolutional Catalyzing System 3) 三元触媒機構 (2003)

 最適な空燃費を管理するO2センサと触媒機構の組み合わせにより排出ガスのクリーン化を図る。


H.I.S.S. ホンダ・イグニッション・セキュリティ・システム (2002)

 CBR1100XXやCBR600F4iに採用、400ccクラスではCB400SuperFour HYPER VTEC SPECII (2002.1)に初採用された盗難抑止システム。キーが抜かれた瞬間から作動し、デフォルト設定ではインジケータランプが2秒毎に点滅し、動作中であることをアピールする。キー内部に組み込まれたチップが開錠時にECUと無線通信を行い、暗証番号の一致が確認されたときのみ点火系が有効になる。同形状のキーであっても始動できない仕組み。


HYPER VTEC (1999) ハイパー ブイテック

 4stエンジンの可変バルブタイミング機構。1999年発表のCB400SuperFourで採用された。油圧制御VTECの進化版で、設定した回転数で2バルブ/4バルブを切り換える。4バルブのうち対角上の1組を休止状態と可動状態に制御するもので、休止状態ではバルブリフターに設けられた穴にバルブステムが逃げるためカムの動きはキャンセルされ、駆動時にはバルブリフターに内蔵された油圧ピンが介入して穴をふさぐ仕掛け。CB400SFでの切換タイミングは6750rpmだった。


HYPER VTEC SPEC II (2002.1) ハイパー ブイテック スペックツー

 4stエンジンの可変バルブタイミング機構。機構自体はHYPER VTEC(1999)と同じで、バルブの切り替えによるエンジンの変化を体感しやすいようにすることを主眼として第2世代CB400SuperFour (2002.1)に搭載されたものをこう呼称した。切換タイミングは前CB400SFの6750rpmから6300rpmに下げられ、日常の使用において体感できることを狙っている。


NSシリンダー(1984)

 NS250F/RNS400R等に採用されたシリンダー内壁にコーティングを施す技術。N(ニッケル)とS(シリコンカーバイト)でコーティング(ニカジル処理)することからNSシリンダーと命名され、フリクションロスの低減、耐久性の向上を図った。


PGM-FIシステム 電子制御燃料噴射装置 (2003)

プログラマブル フューエルインジェクションシステム。スロットル開度や回転数やシフト状況などのデータに基づきECUがマッピングされた空燃費を実現する。排出ガスのクリーン化と優れたエンジン特性の両立を図る。


RFVC (1984-) Radial Four Valve Combustion Chamber

   1985年のCBX125、XR250などからホンダの4サイクルシングルエンジンに採用されたバルブ駆動システム。通常のロッカーアームとバルブの間にサブロッカーアームを設け、バルブをシリンダヘッドに球面状(放射状)に配置する。これにより4サイクルエンジンの理想的な形状とされた半球型の燃焼室を実現し、またバルブを大型化できることから吸排気効率の向上をはかる。


Tボーンフレーム (1964-)

  Benly CS90 (1964)で初採用されたプレスバックボーンフレームの一形態。カブ系エンジンと併用され、小排気量クラスで数多くの車種に使用された。ヘッドセットからシートレールまでを真っ直ぐに結び、スイングアームピボットからやや前傾して立ち上がる腰の部分からなるサイドヴューがTの字に見えることからTボーンフレームと呼ばれた。構造上、搭載できるエンジン形態と大きさは限られるが、非常に効率的なワークで生産性も高かった。プレス成型した鋼板を全周溶接した密閉構造で、T字の立ち上がり部分にエアクリーナを内蔵するなど、電装を表に出さずに処理することが可能で車体デザインをすっきりまとめることにも貢献した。同社のDAXシリーズのフレームなどもこれの応用でDAXではヘッドセットからシートまでの部分のフレームをそのままガスタンクに使用し、外装として仕上げていた。 アンチダイブ機構付きトレーリングリンク式サスペンション(TLAD)


TLAD (1989(?))

 アンチダイブ機構付きトレーリングリンク式サスペンション。フリーウェイやフュージョンに採用された。


TRAC(1984)Torque Reactive Antidive Control

 NS250F/RNS400RCBX400F等のフロントサスペンションに採用されたブレーキトルク応答型アンチダイブ機構。ブレーキトルクを機械的に拾ってアンチダイブ・ピストンを動かすことで減速度に応じた効果を生む。またブレーキング時に路面の突起を拾うなど衝撃を受けた際には、アンチダイブ効果を自動的にキャンセルする。効き方をドライバで段階的に調節することができた。


U字型断面ダイキャストフレーム (2001)

  2001年1月26日発売のクレア スクーピーシリーズに採用された。同車のフレームはジョルノ クレア (1999)で採用された前後2分割のモジュール式フレームをベースにしているが、ダイキャストフレームの強度的な欠点を補うためヘッド部分を逆U字断面、中央部分をU字断面、後ろ部分を逆U字断面とすることで、鋼管フレームと同等のスペース効率で、同等以上のしなやかさと剛性を確保したとしている。