Words - SUZUKI


テーパード・ピストンリング/フルフローター・サスペンション/AL-BOX/DPBS/Jet Line/L-BOX/MR-ALBOX/PDF/SAEC/SELMIX / CCI / CCIS /RCPL/SIPC/SRIS/TSCC


テーパード・ピストンリング

 内径側にテーパー加工をしたピストンリングで、内側に設置するエキスパンダリングによりリングの上下左右の動きを一挙に抑制する。リングのガタ付きをなくすことで気密保持力を向上し、高圧縮、高燃焼効率を狙う。RG400Γ(1985)のセカンドリング等に採用された。


フルフローター・サスペンション(Full Floater Suspension)

 後輪の1本ショック化が進んだ時代、スズキが開発した懸架方式。クッションユニットの両端をフレームに固定しないフローティング構造。高荷重時のプログレッシブ効果のほか、ユニットの実ストロークを長く取れる利点がある。このためバネ定数の低いやわらかいスプリングの採用が可能となり、乗り心地とロードホールディングの向上に寄与した。GSX-R等のロードモデルに採用されたフルフローターサスペンションでは、クッションユニットとクッションロッドをクロスさせて軽量、コンパクトな構造としたCMC(Cross Mono Cushion)タイプと呼ばれるものもある。


AL-BOX(Aluminum Boxsection)(1983)アル・ボックス

 1983年の初代RG250Γ(1983)に採用された角断面アルミパイプを使ったアルミフレーム。スチール製フレームに比べ40%以上の軽量化が可能であるとした。このフレームのためにMR787というアルミ合金を新開発している。


DPBS(Deca Piston Brake System)(1985)

 ブレーキのピストンを前輪:対向式4ピストンのダブルディスクで8、後輪対向式で2、合計10個使用し、フィーリングとストッピングパワーの向上を図り、同社はこれをDPBSと呼んだ。1985年のRG500Γなどに採用。


Jet Line (1959-1962) ジェットライン

 同社が1959年のコレダ セルツインSBより採用したデザインのイメージ名称。複雑な造形のタンクと、これにつながる線でデザインされたサイドカバーが特徴的。250TB (1960)などに採用されたが前衛的ととられたのか市場に受け入れられたとはいえず、TBの後継TC (1963)では従来のスクエアなデザインに戻されてしまった。


L-BOX(1983)

 GS250FW(1983)に採用された角型断面の高張力鋼管ダブルクレードルフレーム。アルミ製のAL-BOXに対してL-BOXと呼んだ。


MR-ALBOX(Multirib Aluminum Boxsection)(1985) マルチリブ・アル・ボックス

 AL-BOXを剛性アップを狙って改良したフレームで、角型断面の4角にリブを持つパイプを使った。GSX-Rシリーズ等に採用された。


PDF(Positive Damping Fork)(1985)

 テレスコピックフォークのオイル流路を制限することで、ノーズダイブを抑えるANDF。1985年のRG500Γなどに採用。


RCPL(Remote Controlled Pre Load)

 リヤショックのプリロードをサイドカバー下側のダイヤルで調節できる機能で、初代RG250Γ(1983)等に採用された。


SAEC(Suzuki Automatic Exhaust Control)(1984)

 2stエンジンの排気ポート直後にサブチャンバーを設けバルブで低回転時の排気脈動を管理することにより、充填効率向上と混合気の吹き抜け防止を実現し低回転時の特性をフラットにすることを狙う技術。これによりエキスパンションチャンバー側を高速寄りにセッティングすることができた。1984年のワークスレーサーRGΓで実戦投入され、RG400Γ(1985)に量販車初採用された。


SELMIX / CCI / CCIS (1965- ) セルミックス

 同社が2stエンジンの信頼性を上げる技術としてGPレースで培った分離潤滑技術の名称で、生粋のスポーツモデルT20 (1965)より量販車にフィードバックされた。2stエンジンの分離給油はヤマハのオートルーブが量販車初といわれるが、吸気の際にオイルを供給するオートルーブに対してセルミックスはクランクシャフト駆動のオイルポンプによりクランクシャフトベアリング、コンロッドビッグエンドを直接強制潤滑するものだった。オイルはクランクケース内で飛散し、スモールエンド、シリンダなどを潤滑、冷却した後、混合ガスとなって燃焼室へ導かれる。当初セルミックスと呼ばれたこの技術は、のちにCCI(Cylinder Crankshaft Injection)と命名され、優れた耐久性を誇るスズキエンジンの証となった。CCIの名称は1966年の70 K30のエンブレムに見られる。さらに後にはSystemを加えてCCISと呼称した。


SRIS (Suzuki Recycle Injection System) (1971-)

 クランクケースに残ったオイルを燃焼行程にあるシリンダに送り込み、2stエンジンの排気煙の減少をはかるシステム。1971年のGT750に採用された。


SIPC(Suzuki Intake Power Chamber)(1985)

 2stエンジンにおいて、吸気サイクルのシリンダと掃気サイクルのシリンダのマニホールドを、中間部を絞ったパイプでつなぎ、吸気効率の向上を図る技術。掃気サイクルにあるシリンダ側のマニホールド内のガスが正圧であることを利用して吸気側により多くのガスを押し込む原理。高速域ではクランクチャンバーからの吹き返しガスをもう一方のマニホールドに吸入し、出力の低下を抑え回転の伸びも向上させるとした。初代RG250Γ(1983)で量販車初採用された。


TSCC(Twin Swirl Combustion Chamber)(1983)

 2渦流燃焼室。4ストロークエンジンの燃焼室ルーフの形状により、吸気工程において渦を発生させ混合気の高密度化を促進する技術。カタナに代表されるGSXシリーズ等に採用された。GSX-R(1985)ではシリンダの真円度を高めて燃焼効率の向上を狙い。これをニューTSCCと呼んでいる。